花の秘密

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俺は、中学を卒業してすぐに近所に在る小さな運送屋に就職した。 初めは助手のアルバイトだけど、そのうち運転免許も取って、正社員ドライバーになるのが、当面の目標だ。 そこで助手として乗ったトラックの運転手が柳田さんだった。 「ちゅ・・中学を卒業して、す・・すぐにここに来たのか。え・・偉いねぇ」 最初は、こんな他愛無い会話ばかりだった。 でも、一日隣に乗って会社に帰る頃には、大分仲良くなった。 「た・・忠くんは、も・・もう経験有るのかい?」 「え?トラックに乗ったのは今日が初めてっすよ」 「シーッ」とヨダレをすすって柳田さんは、空いてる左手を振る。どうやら歯が悪いらしい。 「ち・・違う。違う。し・・仕事じゃなくて、お・・お・・女の話だよ」 運送屋らしい会話が始まった。
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