3月9日

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  「くぁーっ! 負けたぁーっ!」 キャティが煎餅を片手にソファに倒れ込み、奇声をあげます。 「あれ、どうしたんですか?」 「ああ、野球で日本が韓国に負けたらしいわよ」 廊下から部屋を覗いたキィナに答えるのは、キャティの横で漫画を読んでいるロクナでした。 「ああ、そうなんですか。でも、負けても確か決勝には行けたはずですよね?」 「キィナ、ちゃうねん。決勝には行けるんやけどな、2位通過になってまうんや。2位通過やと、多分相手はキューバやで。辛い戦いになるんよ……」 「ふん、愚かな。最強を目指す侍が、相手など選ぶものか。誰と刃を交えようと、叩き潰すまでであろう」 「うわ! どこから湧いて出てきとんねん!」 不意に背後から現れた天狗に、キャティが思わず悲鳴をあげました。 「天狗の言う通りよ。アンタは黙って次の試合を応援すればいいの」 「せ、せやな……。よっしゃ! 頑張れ日本!! 目指すは世界一やっ!」 「はあ、単純ね……。そういえばコンセントは?」 「ノインさんなら、部屋でCD聞いてますよ。何か、今日渋谷でゲリラライブに遭遇して、そこで聞いた歌が気に入ったみたいです。家に帰ってからずっと聞いてますよ」 ふーん……と、つまらなそうに相槌を打つロクナ。 当のノインは、部屋でフィアのぬいぐるみを抱き締めながら、流れる旋律に酔いしれていました。 「……瞳を閉じれば、あなたがまぶたの裏にいることで、私はどれほど強くなれたでしょう。あなたにとって私もそうでありたい……か。本当にその通り……だよ。フィア……」 今日の日をタイトルに冠したこの曲に自分を重ね合わせ、ノインは静かに眠りにつき、次の朝を迎えるのでした。  
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