《コンドーム》

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日曜日。 午前11時の待ち合わせ5分前に玄関のベルが鳴った。 さくらだ! 悟は焦る気持ちを抑えながら、玄関のドアを開けた。 白いワンピース姿のさくらと目が合う。 さくらは挨拶代わりにやわらかく笑った。 「わざわざ悪ぃな。相変わらず汚ねーけど、あがってよ」 平静を装いながら、悟は白々しく言い放った。 しかし、さくらは靴を脱がずに何やらバッグをあさっている。 「どした?早くあがれよ」 そう言って、悟がさくらのバッグを持とうとした瞬間、さくらはサッとその手を避けた。 「…え?」 悟は何が起きたのか分からなかった。 ただ、ポカンと口を開けたまま、さくらを見つめるしかなかった。 すると、さくらはバッグから一枚のクリアファイルを取り出し、こう言ったのだ。 「これ、レポート。そのまま提出してくれて構わないから。じゃあ、今日はこれで…」
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