《少年》

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いっそ… いっそ全てを忘れてしまえたら、どんなに楽だろう。 美しい思い出の欠片はキラキラ輝きながら、悟の胸に鋭く突き刺さる。 「忘れられるわけ…」 冷たい滴が口に入ってきて、悟は言葉を飲み込んだ。 忘れられるわけない。 髪も唇も肌も… 悟の全てがさくらの全部をハッキリと覚えている。 無理に決まっているのだ。 解っていながら、悟は言葉を零していた。 「誰か…忘れさせて―」
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