《少年》

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「誰か、忘れさせて。そうおっしゃいましたよね」 「あ、ああ。それがどーしたンだよ?」 「申し遅れました。僕はこういう者です」 まだ悟の三分の二ほどしかない、小さく白い両手が、サッと一枚の紙を差し出した。 悟はそれを受け取り、目を通す。 そこには拙い平仮名で、こう書かれていた。 「おもいでや?」 「はい」 ニコリともせずに少年は頷く。 悟は渡された名刺(?)と少年を交互に見て、ぷっと吹き出してしまった。
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