《コンドーム》

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きっかけはコンドームだった。 思い出せば、確かにあの頃のさくらは様子がおかしかった。 「教授に呼ばれてるから」 「友達と約束があるの」 と、何かにつけて悟の誘いを断る。 しかし、悟は特に不安を抱いてはいなかった。 さくらは嘘をついたりしない。 つくとしても、それはそれなりの訳がある時に限る。 悟はさくらを信じていた。 なによりも、悟の誘いを断る時、 「ごめんなさい…」 そう口にする時の切なげな表情が、自分を想ってくれていること確信させた。 だからしばらくは、無理強いはしなかったのだ。 しかし、21歳の健康優良男子が1ヶ月もおあずけを食らってはたまらない。 それこそ、悟は嘘をついてさくらを呼び出すことにした。
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