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「今年で卒業、か」
自分の部屋に着いて早々、クロはそう漏らす。
「そうですね、もうあれから9年も経つのですねぇ……」
クロの一言で、目をつむり感慨深げに回想に浸るリリス。
その顔は幸せそうで、子供の成長を喜ぶ母親、または恋い焦がれる人を想う乙女のように見える。
その間にクロは箪笥から白いタキシードのような服を取り出し、廊下へ出る。
差し詰め、着替えるためリリスに気を使ったのだろう。
本来なら、立場的に逆でなければならないところだが、当のリリスさ未だ呆けている。
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