44人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
リリスは小悪魔のような妖艶な笑みを浮かべると、目をつむり、自分の顔をクロの顔へと近付けていく。
言葉だけを見れば『色気づいたお姉さん』といった感じだが、彼女の顔は朱に染まり、顔は小刻みに震えている。
そんなところを見ると、『お姉さん』ではなく『少女』と言い換えたほうが適切だろう。
「……いいんですかクロ様、ホントに接吻しちゃいますよ?」
リリスの顔はあと数センチというところで動きを止め、目を開けた。
サァァァァ
外では風が木の葉を揺らし、小鳥は少し控えめに囀っている
サンサンと輝く朝日の中、世界は起きはじめていた。
「…………」
そして数秒、クロを見つめ、返事がないことを確認すると再度目をつむり、さらに距離を詰めていく。
もうお互いの吐息が掛かる距離、ゴクンとリリスが唾を呑む。
ガシッ
「……何してるんだリリス?」
その時、今まで死んだように寝ていたクロの腕が、まさに唇を奪おうとしていたリリスの頭を掴む。
最初のコメントを投稿しよう!