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幸いにも、今日という日はさも穏やかに訪れた。
それはあたしの内を、さほど揺らすことも無い。
だって予想以上に、今日もこの世界は静かだったから。
うるさかったのはただひとつ、昨夜いつもより少し早く鳴るように仕掛けた目覚まし。
その控え目な電子音が鳴るよりも早く目は覚めていたけれど、起き上がる気にはなれなかった。
体温と吐息で温まった毛布を手放すのは少し、
ううん、かなり。
億劫だったから。
それから、夢の続きを見たくて、夢の世界に手招きされるがまま心地よい感覚に目を閉じて……まあ、次の瞬間にはアラームが鳴り響いて、あたしは完璧に起こされた訳だけど。
ーーしつこく鳴り止まない電子音に観念したあたしはゆっくりと起き上がり、それから電気ストーブの電源を入れた。
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