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それは世界の向こう側が血に染まるように。
真っ赤な夕暮れだった。
「はあ、もうこんな時間かぁ…」
無数に立ち並ぶビルや、商店街は夕日を浴びて深紅に染まる。
その血の色に染まった街並を背に、少女が歩いていた。
バイトの帰りだろうか。
その表情からは、披露と労働による一種の充実感が伺える。
そう、これは彼女、桜樹深夜子の日常だ。
16歳で年相応に学校に通い、空いた時間で娯楽を楽しみ、バイトに勤しむ。
ごくごく当たり前の日常――
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