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「……やばいかも」
酸を若干中和するクリームを塗っているのである程度は持つが、雨粒が大きくなってきた。
いかんせんクリームなので土砂降りになれば流れ落ちてしまう。
5分もすれば家に着くが、頭上の忌まわしい雨雲は容赦ない。5分もしないうちにクリームが流れ落ち全身を酸で焼かれるのが関の山だ。
仕方ない。その辺の住宅の軒先を借りようと適当な家の門扉を開け、ずかずか軒先に向かう。
と。
そこで庭で立ち枯れた低木の下に押し込まれた、物体を見た。
蝋引きしたぼろ布で覆い隠されたそれは微かに動いている。
しかも。
その包みの大きさは猫や犬の大きさではない。
明らかに人間、だった。
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