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僕は他人の軒先でしばらく呆然とぼろ布包みにされた人間と荒れた庭を見ていた。
庭に面した窓をぴったりと閉ざした上、カーテンを引いてあるので中の様子は分からない。
しかし、カーテンが微かに揺れているところを見ると、誰か息を潜めながら庭を覗いているようだ。
と、揺れたカーテンの隙間からちらっと目が見えた。確かにこちらを見た。
どろりと濁った瞳。
男か女か分からないがいずれにしろ完全にイッてしまった瞳だ。
この家はおかしい。
頭の中で警鐘が鳴り響くが、雨はまだ止まない。
否、更に勢いを増して降っている。この雨が止まなければ逃げられない。
脂汗が背中を伝う。
「…てめぇ」
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