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弾幕を抜け、取りついた一機が、ライフルの銃口をブリッジに向けた様が有視界で確認出来る。
「っっっ!」
死―
全身を、電撃のようなモノが走り去る。
そして―
ドン!
敵機は、横手から飛来したマヴェリックに蹴り飛ばされた。
皆が唖然とする。
メインカメラと片腕の無い、満身創痍ながらも駆けつけた白銀の機体に。
「リュート……」
ユキが、誰よりも先にそれが分かった。
目尻が熱くなるのを感じる。
しかし、ラスティの表情は険しいままだった。
突然の敵機の散開。
艦の正面、いつの間にか回頭し、巨大砲門を向ける要塞に。
その砲門に、光の粒子が収束していく。
グラディウスは、エンジンに損傷を受け、最早航行不可能。
「え?」
ユキが確認したのは、一度だけ、僅かに振り向いたような気がしたマヴェリックの姿。
リュートの笑顔が、浮かび、消える。
胸を苛む、締め付けられるような感覚。
通信する事なく、リュートは飛び発つ。
巨大要塞の、その砲門に向け……
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