EPISODE

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 実質、これが最後の戦いと言えた。  MFF―1A1『マヴェリック』。  旧アメリカ軍が、合衆国から連合国への移転直前にロール・アウトした初の歩行戦車で、そのポテンシャルの高さから、連合軍にそのまま正式採用された『人型機動兵器』である。  その『マヴェリック』の運用戦艦として開発されたのが、『陸上ホバー戦艦・グラディウス』。  その歩行戦車デッキで、リュートは扱い慣れた機体の操縦系の最終チェックを行っていた。 「あと10分もしたら作戦開始だ。あとはまかせな…リュート、おまえは休んどけ」  ハッチの外からそう声をかけてきたのは、メカニックのゼノ=フライクスだった。  年の頃なら30代前半の、まだまだ若い青年である。  すまん…―とだけ言って、リュートはコックピットから這い出る。  ゼノは、リュートの肩にポンと手をやって 「コイツの調子は万全だ……いいか…死ぬんじゃねーぞ…」  真剣な面持ちでそう言った。 「サンキュ」  リュートは、穏やかな笑みの後、ゼノへと背を向ける。  誰もがわかっている。  これが最後の出撃になる、と。  誰もが祈っている。  リュート達前線パイロットの無事を。   「リュート=ライアス中尉、出るぞ!」
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