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「澪ー、次の時間なんだっけ?」
うっすらと茶色い髪を風になびかせ、不安定な窓枠に腰かけた少年が言う。
「喜びなよ空、次は君の大好きな魔法理論の授業だよ」
黒髪をショートカットにした少女が手すりに寄りかかりながら少年に向かって軽い毒を吐いた。
「うるせぇよ。お前の嫌味は聞き飽きたっての」
ピョンっと少年は窓枠から飛び降り、少女の横でズボンの埃を払う。
少女はあからさまに煙たそうな表情をするが、少年は気にしない。
くるりと振り返り、先ほどまで見ていた空を再び見上げた。
「あーあ、いい天気だってのになぁ…」
初夏の空は青く澄み渡り、吹き抜ける風はどこまでも爽やかで。
そんな空の下、一人の少年が大きなため息を一つ漏らした。
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