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「今日の魔法実習は前から言っていたように初歩的な魔法の使用だ。各属性ごとに別れ、指定された課題をこなせ」
魔法理論兼魔法実習の担当である神谷葉子(かみや ようこ)が生徒に向けて指示を飛ばす。
生徒が散り散りになった所で彼女は自分の椅子にどっかと座り、長い黒髪を手ぐしで整え始めた。
その様子は静観とも放棄とも取れるが、彼女の表情を見るあたりは後者であろう。
「風属性は木の葉の切断ね。楽勝楽勝」
うっすらと茶色がかった髪を持つ少年、八尾空(やお そら)は余裕の表情を浮かべて人差し指をクルクルと踊らせる。
そして…。
「せりゃ!」
木の葉に向けてその指を一閃。
すると三日月状のかまいたちが起こり、木の葉へと一直線に向かってゆく。
その刃は容易く木の葉を捉え、見事まっ二つに切り裂いた。
「どんなもんよ。って危ねぇッ!?」
突如、空に向けて赤い火球が放たれる。
とっさにそれをかわす彼だったが、その目は既に犯人の方を睨み付けていた。
「おい澪、お前今何した?」
相変わらずの様子で問いかける空。
そして飄々と答える少女が一人。
「あれぇ?ボクとした事が狙いを外すなんて…」
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