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「澪…」
空の表情はみるみる内に険しくなり、普通の人間ならば言葉が出なくなってしまうような迫力すら放っている。
しかし、七瀬澪(ななせ みお)は普通では無かった。
「そんなにボクの事見つめないでよ。もしかして…惚れちゃった?」
「殺す!」
己の意思を短く簡潔に伝え、空は先ほどと同じかまいたちを放つ。
澪も負けじと火球を放ち、二人の魔法が正面から衝突した。
炎は風によって勢いを増し、辺りの床、壁、実習用具を焦がしていく。
「あ…」
「マズイかも…」
この熱気のなかで冷や汗をかく二人。
自分達でどうにかしようにも属性故に炎の勢いを増してしまうだけ。
魔法の実習室だけあって頑丈な作りになっているはずだが、それにも必ず限界が存在する。
二人がそんな事を考えていた時、一人の女子生徒が飛び出して来た。
彼女は何かを持ち上げるかのような姿勢を作り、頭上に巨大な水の塊を作りだす。
「お願い…消えてっ!」
そう叫びながら彼女は火に向けて水球を投げつける。
轟音と共に弾けた水は容易く火をかき消し、おまけと言わんばかりに教室の床をびっしょりと濡らしていった。
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