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「あ…あれ…?」
本来であれば二人に向けられるべき視線が女子生徒へと向けられた。
「あちゃー…」
「ドンマイ、委員長」
自分達は関係ない。そんな様子で二人はその場を離れようとする。
しかし、後方に立つ鬼の視線によって二人の足が自然と止まってしまった。
「八尾、七瀬。まさか逃げようとはしてないな?」
神谷葉子の纏う物は明確な殺気。
もはや視線が刃物と化しているようにも感じてしまう。
「まずは事実確認だ。火を起こした原因は八尾と七瀬。これで間違いはないな?」
二人は引きつった顔のままで首を縦に降る。
続けて彼女は委員長と呼ばれた少女の方を向き、口調を変えぬまま淡々と続けた。
「その火を見て藍澤は自身の水の魔法での消火を試みた。そして、結果はこの状況…」
神谷はその場で靴の爪先を上げ下げし、足下に溜まった水をピチャピチャと鳴らす。
その後盛大なため息を吐き、三人をジトッと見ながらその口を再び開いた。
「全員教室に戻って残りの時間は魔法理論の自習。三人は放課後に私の研究室に来い。反論は認めない」
ピリピリとした空気。
次第に生徒が実習室から出始め、最後には三人が残ってしまった。
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