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本日の時間割りは三時間の魔法実習の後に数学。昼休みを挟んで魔法理論、最後に現代文といった内容である。
そして今、現代文の授業がチャイムによって終わりを告げ、皆が楽しそうにする中で三人の生徒が暗い表情をしていた。
「澪、ついに来ちまったな…」
「言わないでよ。さすがにボクでも不安なんだから…」
二人がそう思うのも無理は無い。
なにせあの雰囲気だ。もはや殺されてもおかしくないほどの殺気を向けられたのだから。
さらに、二人の杞憂にはもう一つ理由がある。
「騒いでないで席につけ。五秒後には串刺しにするぞ」
物騒な言葉を並べながら教室に入ってきた人物。
それはあの神谷葉子だった。
魔法理論の担当でもあり、このクラスの担任でもある彼女は五時間目にもこの教室を訪れたわけだが、やはりどこか不機嫌さが滲み出ていた。
そのせいか八つ当たりに近い形で廊下に立たされた篠塚くんには同情せざるを得ない。
「特に連絡事項は無し。各自、最高学年の自覚をもって行動するように。以上だ」
神谷はクラス全体を見渡し、次に三人をそれぞれ見てから教室を出ていった。
言葉には出さなかったものの、逃げるなよと言われたのは明確である。
「あの、そろそろ研究室まで行きませんか?」
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