3.超能力

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  ……確かに。 あのまま行かせたのはまずかったかも知れない。 思った以上の無鉄砲さと天然さは、意外な要素だったが。 まあしかし、何かあれば必ず連絡が来るだろう。 蛇口から流れ出る水の筋を眺めながら、悠一はぼんやり考える。 「兄貴、俺思ったんだけどさあ」 「俺の宇宙人説は聞き飽きた」 リビングからの声に、我に返って即答した。 「いやそうじゃなくて……。もし得体の知れない何者かが昇さんに憑いてたとするじゃん? だったらその憑いてる奴自身が、炎が苦手ってことなの?」 属性は『水』、みたいな。 「まあ普通に考えたらそうだな」 「だよねぇ」 三笠によると、昇さんが炎恐怖症になったのは最近だと言う。 だから単純に考えて、何かに憑かれたのも最近だ。 それに、普段その『何か』は表に出ず、妹の三笠は人格の異変には気付いていなかった。 普段の会話や日常では。 「ならばあの日はなぜ出て来たんだ?」 悠一は呟く。 「何が?」 「……」 ああ、そうか。 俺達みたいな訳の分からん兄弟が、訳の分からん事をしようとしたからだ。 そして三笠に対する電話の対応は、単に『何か』の勘違いの怒り、とか。 「だから何がってばあ~っ!」 「……」 未だテーブルに突っ伏したまま叫ぶ伸一を、完全に無視して思案に耽る。 宿題。予習復習。家事。その他諸々。 これからの時間、やることは山積みだ。 分かってる。 分かってるのに。 悠一の右手は蛇口に添えられたまま、しばらく固まっていた。
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