3.超能力

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教室の後ろの戸口から中の様子を窺った。 目だけを動かし、それらしい姿を発見する。 2人の女子生徒と一緒に、教壇で談笑していた。 一旦廊下から前の戸口へ移動する。 控え目に顔を覗かせ、そして控え目に声を掛けた。 「三笠。ちょっと」 たったその一言に、一斉に視線が集まった。 悠一はそれを完全に無視する。 悠一に群がる視線は、やがて悠一の目から伸びる線を辿り。 その先の里子で間を置いたのち、再び戸口の悠一へ戻る。 その見事なまでの反応は、もはや芸術と言っても過言ではなかった。 ……これは、危険な気配だ。 悠一の脳裏に多少の後悔が掠めるが、今回ばかりは仕方がない。 諦めて里子を見据えた。 里子は悠一を認めるや、パッと悦びハッと眉間にシワを寄せ、ハテと小首を傾げた。 すぐに友人に何か告げて、慌てて悠一の元に走って来た。 「芸術的な百面相だな」 「え?! わ、私?!」 「……なんでもない」 言いつつ悠一は、目を険しく細めた。 「その左手」 「あ。……ま、まあ、ちょっとね……」 とっさに左手を背中に隠す里子を見て、悠一はあからさまに溜め息をつく。 「とにかく、今日の放課後は空いてるのか?」 「何が?」 「面倒臭い奴だな。お前の時間と生徒会室だ」 「うん、両方空いてる空いてる。行ってもいいの?」  
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