3.超能力

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  「今回は俺1人じゃないから安心しろ。伸一も呼んである」 「……安心とか、そんなバカな……。2人きりかと思ったのに……」 弟くんに何かトラブル発生しないかしら。 斜め下を向いてブツブツ呟く。 「お前今しれっと俺の弟の不幸を望まなかったか?」 「 不幸だなんて。ほんの些細なトラブルよ。お腹下すとか、先生に急用を託されるとか 、そんな小規模なアクシデントよ」 人差し指を顎に当て、聞かれもしない具体的内容まで答える里子である。 こいつの天然ぶりはもはや決定的だな。 そう呆れながらも、悠一は肩の力が抜ける安堵を覚えた。 それは近年感じたことのない、形容し難い感覚だった。 6限目終了のチャイムと同時に、悠一は真っ直ぐ生徒会室へ向かった。 北校舎に踏み入れた途端、周囲の喧騒が嘘のようにパッタリ途絶える。 その対比はあまりに見事で、むしろ幻想的でさえあった。 2階に歩を進め、ここ最近通い慣れた一番奥の生徒会室に辿り着く。 中では既に里子と伸一が待っていた。 「お前ら随分早いな」 「だって一刻も早く黒川くんに会いたかったんだもん」 「俺も同じ!」 「冗談はよしてくれ」 前者はともかく、弟のセリフに全身が粟立つ悠一である。 これ以上言及しないことにして、用意されたパイプ椅子に座わった。  
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