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「嘘だろっっ?! 兄貴ってばそれが高校男子のセリフ?! やっぱり異星人だ! 宇宙人は宇宙人同士で仲良くすればいいんだーっ!」
誰か宇宙船の手配を頼むー!!
付け加えた伸一の絶叫に、クラスメートの好奇の視線が集まった。
悠一は素早く振り返り、弟の頭をパシリと打ち鳴らす。
ドスの利いた低音でもって、弟の耳元を零下に晒した。
「黙れやかましい。いいか? 俺達の貧相な家計状況を鑑みろ。晩飯から姿を消して久しい肉の存在を憐れめ。他人に興味を示す暇があれば、血眼になって依頼を探せ。宇宙と交信している暇はない」
「依頼ばっかに頼らず他のアルバイト見つけりゃいいじゃん」
「この仕事を始めるきっかけを作ったのは誰だ?」
「……あ、それは俺です、間違いなく」
悠一の鋭い睨みに再び頭を垂れる。
相変わらず四方からの視線が身に染みるが、悠一はお構いなしの様子だ。
私立名山高校は、全国的に名の通った進学校である。
学生のアルバイトは禁止され、家の事情等例外の場合も、校長の許可が必要だ。
伸一は以前、自宅近所のコンビニでアルバイトをしていた。
たまたま客として担任がやって来た事。
たまたま許可なく無断でやっていた事。
この不運が重なり、黒川伸一のアルバイトは今後禁止となったのである。
「……もっと派手に客寄せしちゃうとか……」
「バレたら二の舞だろうが。俺達の仕事を教師に説明する事ほど無駄な時間はない」
「あははっ! そうだよね! やってる事普通じゃないし! ……あ。ならむしろバレてもいいんじゃない兄貴? 頭の痛い哀れな兄弟って事で始末されるよ?」
「一緒にするな忌々しい」
伸一の頭が奏でたパチーンという音色が、廊下から上がった声と重なった。
「おーい黒川ーーっっ!!」
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