夢のひとりぼっち

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「お客さま、どうでしょうか?」 部屋に通された僕は何も置かれていない部屋に感動した。 「は、はい!感動です!」 「はぁ…。」 不思議そうな賃貸会社さんをよそに、僕は頭の中で空想の家具を部屋に並べ、ソファーで優雅にコーヒーを飲む自分に酔いしれていた。 「はやり朝はコーヒーとクロワッサンだな…」 「あ、あの…」 僕の名前は原田三喜雄(はらだみきお)社会人一年生だ。大学までは実家で年の近い兄との二人部屋。今、まさに夢の一人暮しを手に入れようとしていた! 「さらば二段ベット!さらばイヤホン!」 「あ、あの!」 「あっ、こ、ここに決めます!ここが僕の故郷に決めました!」 「あ、ありがとうございました。では戻って契約の手続きを…」 「はいっ!喜んで!」 名残り惜しそうに見た部屋の窓の外で新たな仲間を祝うかのように小鳥たちが歌っているのが聞こえた。
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