温かい紅茶にハチミツを

１‐いち

ふかふかの布団が私の肌を滑らかに包みこむ。

けたたましい目覚まし時計の音に安かな睡眠を遮られ開きかけた瞳が、そのなんともいえない感触にもう一度魔の道へ引きずり込まれてゆく。

目を完全に開くまではこの布団の温もりなどに気付いてしまってはいけない。
毎日の朝はそれをどこまで知らんふり出来るかどうかにかかっている。

今日のような日は駄目だ。
布団の魔力に目覚まし時計の音なんてもう私の耳には届かない。
ジリリリリと響く目覚まし時計のベルを無視して私の上下の瞼は仲良くキスをした。