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午後四時半。
なぎさが河川敷に向かうと、そこにはタンポポ以外の草をむしっている翔太の姿があった。
「こんなことしてていいの?今日引っ越すんじゃなかったっけ?」
「五時にここを出発するんだよ」
翔太が額の汗を袖で拭い、土手の上に上がってくる。
「今は怒ってないのか?」
「最初から怒ってないよ。なんか、自分の中で混乱してたみたい」
「そっか…」
二人で土手に座り込む。そして、下の河川敷を見つめる。
「少しだけタンポポが増えたね」
「ああ。でもこのペースじゃ、とても八年後には間に合わないかな」
「八年後って、大学生で結婚するの?」
「あ、そっか。そんな計算になっちゃうな」
「早すぎるよ」
二人が苦笑する。それから沈黙がしばらく続く。
「……私、諦めないよ」
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