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「そう…だよね。ありがと、相談のってくれて…」
なぎさは静かに翔太の側を離れて立ち去っていった。翔太は無言で弁当の片付けをし始めた。
「馬鹿やろう!」
「いって!」
突然、背中を隼人から蹴られる。翔太が振り向くと隼人の側には大村の姿もあった。
「なんで翔太君、なぎさちゃんを励ましてあげないの!彼女はそれを待っていたのに!」
翔太がハッとするがすぐ不快な顔になる。
「そんなの言われなきゃわかんねえよ」
「ひどい!以前の翔太君なら分かったはずよ!なんでそんなに彼女を拒否するの!」
「ひどいって、ワザと二人が仕組んだことだろ!俺は望んでねえんだから、どういう展開になっても仕方ねえじゃん!…うわ!」
隼人が翔太の襟首を掴み上げる。
「ワザとじゃねえよ。これは彼女が俺達にどうしてもってお願いしてきたんだ!お前と最後に話がしたいからってな!」
翔太、その言葉に呆然とする。
「大村さんに聞いたぜ。お前と彼女は幼馴染でお互い好き合っていて、いつか一緒になる約束もしていたってな」
翔太が視線を落とす。
「大村さん…なんで余計なことを、」
「余計なこと?私は翔太君となぎさちゃんが幸せを掴んで欲しいから、隼人君に言って協力してもらったんだよ」
「そんなの俺は望んでねえよ!」
「だったらはっきりそうだって、なぎさちゃんに言えばいいじゃない!彼女可哀想だわ!ずっと信じてたんだよ、翔太君の気持ちを!」
「こいつは女を信用していないんだよ。一年前の失恋からな」
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