なぎさの太陽

20/27
前へ
/27ページ
次へ
大村が驚く。 「どういうこと?」 「裏切られたんだよ。こいつ結構本気だったんだけど、相手は翔太を金づるにしかみていなかったんだ」 隼人が翔太の襟首を離す。 「お前の気持ちも分からないでもないけどな、いつまでも過去の恋愛を引きずってんじゃねえよ。彼女はお前の過去の彼女とは全然違うじゃねえか」 「それで、翔太君はなぎさちゃんを拒否していたんだ…」 「違う!」 翔太が顔を上げて、強く叫んだ。 「俺は今も有田さんのことが好きだ!でも…」 「でも?」 「…俺は一度別の女を好きになったんだ。これは約束を破ったことと同じだ。でも有田さんはずっと一途に想っていてくれた…俺はそんな有田さんに見合った男じゃない!」 「でも翔太君、」 「(!)」 紙コップが落ちる音がする。三人が一斉に後ろを向くとそこにはなぎさの姿があった。 「有田…さん…」 「……っ!」 なぎさが急いで紙コップを拾い、走っていく。 三人の中に一気に沈黙が広がった。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加