なぎさの太陽

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翔太が、土手を駆け降りて河川敷に向かう。なぎさもその後に続いた。 「気をつけて降りて来いよ、有田さん!」 「分かってるっ!」 翔太が軽く笑う。そして、なぎさに背を向けて、持っていた綿毛を思い切り河川敷に吹いて種を飛ばす。 「綺麗…」 気がつくとなぎさは足を止め、翔太に魅入っていた。ゆっくりと流れる川に映る夕日がバックとなり、翔太と、その飛んでいく種達を美しく浮き立たせている。 「ばーか!何ぼーっとしてんだよ!早く手伝えって!」 「う、うん!」 慌てて、土手を駆け下りるなぎさ。そしてすぐに翔太に倣ってタンポポの種を吹いて飛ばした。   「随分暗くなっちゃったね…今何時だろ?」 「そろそろ帰んねえと、母さん怒るな」 「先生もね」 翔太が笑って、河川敷で横になっている体を起こす…が、すぐ頭を抱える。 「あいてて。くっそー、頭痛え…」 「そりゃあ、あれだけフーフーしてたら、頭痛くだってなるよね」 なぎさが翔太の横で微かに見える一番星を眺めながら笑う。そして、河川敷を見回す。 「来年、タンポポ、いっぱいになるかな」
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