なぎさの太陽

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「ばーか。すぐは無理だよ。来年もこうやって種をばらまくか、どっかからタンポポ持ってきて植え替えねえと」 「え、じゃあ、いつになったらいっぱいのタンポポがここに咲くの?」 「数年はかかるんじゃねえ?」 なぎさがそれを聞いて泣きそうな顔をする。 「まだまだなんだ…いやだ、早く見たいよぉ」 翔太が大きく溜息をつく。 「有田さんって本当に馬鹿だな。まだ俺達、結婚出来る年じゃないんだぜ。どう頑張ったって、後…何年だっけ?」 「十年ぐらいかな?」 「んじゃ、そういうことで。とりあえず、そんぐらい年とらねえと出来ねえじゃん。だから、今のうちに会場準備だよ」 「なるほど」 「最高な結婚式になるように、タンポポいっぱい増やそうぜ」 「分かった!じゃあ、毎年種まきをしにここに来ようね。約束♪」 なぎさが小指を立てた右手を翔太に向ける。翔太、すぐにその小指に自分の小指を組む。 「指きり拳万、嘘ついたら…」 静かな川の流れの中に二人の歌声が大きく響いた。
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