20人が本棚に入れています
本棚に追加
二年後。
屋上で眩しい太陽の光を受ける二人は、小学五年生になっていた。
「岡谷君、嘘でしょ!?」
「ごめんな…」
翔太が申し訳なさそうに視線を落としている。なぎさの表情が怒りに変わっていく。
「嘘つき!一緒にタンポポ育てるって約束したのに!」
「俺だって好きでこんな風になったんじゃねえよ!分からねえのか!」
翔太がなぎさを強く睨む。その威圧感になぎさの目から涙がこぼれる。
「だって…ずっと一緒にいられるって…」
なぎさがすぐ駆け出し、屋上から出て行く。それと入れ違いに男の先生が現れる。五年で二人の担任になった先生だ。
「有田は随分ショックを受けたみたいだな」
「そうですね…」
先生に背を向けた翔太が力なく答える。その背を先生が軽く叩く。
「人生っていうもんは、思い通りにいかないもんだ。だが、その壁を乗り越えて人は強くなる」
「……」
「だから泣くな、岡谷。この経験で強い男になれ」
翔太が歯を食いしばる。
「はい…っ」
最初のコメントを投稿しよう!