なぎさの太陽

9/27
前へ
/27ページ
次へ
二年後。 屋上で眩しい太陽の光を受ける二人は、小学五年生になっていた。 「岡谷君、嘘でしょ!?」 「ごめんな…」 翔太が申し訳なさそうに視線を落としている。なぎさの表情が怒りに変わっていく。 「嘘つき!一緒にタンポポ育てるって約束したのに!」 「俺だって好きでこんな風になったんじゃねえよ!分からねえのか!」 翔太がなぎさを強く睨む。その威圧感になぎさの目から涙がこぼれる。 「だって…ずっと一緒にいられるって…」 なぎさがすぐ駆け出し、屋上から出て行く。それと入れ違いに男の先生が現れる。五年で二人の担任になった先生だ。 「有田は随分ショックを受けたみたいだな」 「そうですね…」 先生に背を向けた翔太が力なく答える。その背を先生が軽く叩く。 「人生っていうもんは、思い通りにいかないもんだ。だが、その壁を乗り越えて人は強くなる」 「……」 「だから泣くな、岡谷。この経験で強い男になれ」 翔太が歯を食いしばる。 「はい…っ」
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加