1357人が本棚に入れています
本棚に追加
「───これでわしの話は終わりだ」
おじいさんはふぅと溜め息をつく。
「後から生き残った村人に防空壕のことを話すと、どうやらアレは防空壕じゃなく墓地だったそうだ。
前回の空襲で死んだ村人を埋葬したらしい。村人はみんな家族ということで一ヵ所に埋葬されたんじゃと」
そして悲しそうに
「きっと何も出来なかったわしらを恨んでいたんじゃろう…」
と呟く。
「で、でもそのあと村に戻ったんでしょう?
なら助かった人もいたはずだ」
と、すかさず“セフィロス”さんがフォローを入れる。
すると“逃亡兵”さんは俯(うつむ)きながら
「わしは恐怖のあまり山の中で震えていたんじゃ。
村には戻っておらんよ」
と言った。
一瞬場が凍りついたが“うとむ”の
「んじゃ、次!次!
“セフィロス”さんどうぞ!」
の掛け声で動きだす。
明るい性格の“うとむ”に感謝しつつ“セフィロス”さんの話に耳をかたむける。
「───では、これは私が刑務所の看守をしていたときの話です」
最初のコメントを投稿しよう!