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刑務所───そこは罪を償う者が行く場所。
否、罪を犯した者が行き着くところ。
私の仕事は刑務所の看守だ。
ほとんどの囚人達の目には生が無く、映っているのは絶望だけ。
罪が無期懲役や、懲役何ヵ月で赦(ゆる)されるのなら、まだ活気に溢れるだろうが。
罪が軽い者はいづれは出られるが、人殺しや罪が重い者は違う。
死刑になるのだから、死刑囚達にはみな生気がない。
あるものは気が狂い、あるものは神に祈りを捧げ続ける。
死を待ち続ける日々はそれこそ地獄だ。
いつ自分に死が回ってくるのかもわからない。
死刑囚達にあるこれからの人生は、生を謳歌するのではなく、いつ死神が来るか待つというものだ。
だが、もし───もし冤罪だったとしたら。
無実の罪のせいでこんな地獄を味わい死んで逝ったなら、その怨みはきっと底無し沼のように深く、人を飲み込んでゆくだろう───
時刻は深夜、巡回のため暗い廊下を歩く。
空気は冷たく刑務所は静まり返っている。
この刑務所は二つの棟に別れている。私が今巡回しているのが、主に無期懲役や出所を待つ囚人達の棟だ。
そして次に巡回に行く棟が、死刑囚達のいるところだ。
「よし、異常無し」
今日はやけにみんな大人しい。
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