第二話 月

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翌朝、刑務所は何やら慌ただしい雰囲気だった。 忙しそうにしている上司を捕まえて聞いてみる。 「何かあったんですか?」 「…あぁ。今日死刑になるはずだった囚人が朝方、自殺してるのが発見された」 「───え?」 自殺? 「死因は自分で自分の首を絞めたことによる窒息死だ。」 自分で自分の首を絞めた? そんなこと、出来るはず無い。仮に自分で首を絞めたとしても心臓が止まる前にまず気絶するはずだ。 「お前の言いたいコトは解る。だが事実だ。 手は首に深く食い込んでた…。 とても普通の死に方じゃない」 そして深く溜め息をついたあと 「……実は、今回が始めてじゃ無いんだ。 俺がこの仕事に着いた時からあの牢での自殺は頻繁(ひんぱん)にあった」 ということは昔からあの牢での自殺は続いている…? 「どういうことですか?」 「…あの牢は呪われてるってことだ」 それだけ言い残して、また忙しそうに立ち去っていった。 なぜ…。 なぜ自殺なんか…。 そもそもまえからこんなことが頻繁に起きていただって? 新聞やニュースは毎日欠かさず見ているが、この刑務所で自殺があったなんて、一度も見たことが無い。 どういうことだ?
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