第二話 月

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考えているうちに、足は自然と局長室へと向かっていた。 「局長!」 「あぁ…君か。 もう事件の事は聞いたか?」 …事件? この件は自殺のはずだ。事件なんかじゃ無い。 「自殺と聞きましたが」 「あぁ、そうだったな。 悪いが、この件に関しては一切口外しないように。身内にも話してはならん。 この件は内部で処理する」 「な…、つまり無かった事にしろと?」 「そうだ。予定通り死刑は執行された。 いいな?」 …何故隠す? 「納得出来ません! 理由を説明して下さい!」 「とりあえずこの件については忘れろ。 おまえのためだ。」 理由を聞こうとしたが私は忙しいんだと追い出されてしまった。 その後、彼の家族には死刑執行が知らされた。 局長の言うとおり、自殺は始めから無かったかのようにされた。 暗い廊下を歩く。 あの日から私の巡回日数が減った。 きっと局長の命令だろう。 私があの日から、あの自殺について嗅ぎ回っているのがバレたのだろう。
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