1357人が本棚に入れています
本棚に追加
考えているうちに、足は自然と局長室へと向かっていた。
「局長!」
「あぁ…君か。
もう事件の事は聞いたか?」
…事件?
この件は自殺のはずだ。事件なんかじゃ無い。
「自殺と聞きましたが」
「あぁ、そうだったな。
悪いが、この件に関しては一切口外しないように。身内にも話してはならん。
この件は内部で処理する」
「な…、つまり無かった事にしろと?」
「そうだ。予定通り死刑は執行された。
いいな?」
…何故隠す?
「納得出来ません!
理由を説明して下さい!」
「とりあえずこの件については忘れろ。
おまえのためだ。」
理由を聞こうとしたが私は忙しいんだと追い出されてしまった。
その後、彼の家族には死刑執行が知らされた。
局長の言うとおり、自殺は始めから無かったかのようにされた。
暗い廊下を歩く。
あの日から私の巡回日数が減った。
きっと局長の命令だろう。
私があの日から、あの自殺について嗅ぎ回っているのがバレたのだろう。
最初のコメントを投稿しよう!