第二話 月

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図書館などで昔の新聞をチェックしてみたが、何一つ成果はあげられなかった。 だが、これで確かに昔からの自殺の件が隠蔽(いんぺい)されていることがわかった。ナニかを怖がるように必死に隠している。 いったいナニを? 上司の人達にも話を聞いて周った。 だが、やはり自殺については何も得ることは無かった。 たった一つを除いて。 みんなの話を聞いているうちに、ある一つの単語が何度も口にされている。 ──呪われた牢── 必ずこの話に登場する一つの牢。 この牢は、自殺した彼が使っていた牢だ。 昔からあの牢を使っている囚人は、必ず死刑執行前日の夜に自殺しているらしい。 原因は不明。 ただわかったことは、あの牢で自殺した囚人達は、皆死に方が同じらしい。 ───自らの手で首を絞める、指は首に食い込み、目は大きく見開かれていたらしい。 まるでなにか、見てはいけないモノ、恐ろしいモノを見たかのように……。 そこで私はある決心をした。 今晩、あの呪われた牢で夜を過ごす。 呪われているなんて馬鹿らしい、その時はそう思っていた。
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