第三話 いっしょ

2/15
前へ
/50ページ
次へ
いつものように学校から帰路に就く。 私の高校は町の中にある。 進学校というわけでもなく、いたって普通。なにしろ決めた理由が家から近いから。 ここから徒歩10分で駅がある。 そこから一駅で私の家に着く。 しかし、私には駅に向かうこの10分間に少々問題がある。 「うぅ、…今日もいるなぁ」 私の後ろを一定感覚で着いて来る男が一人。 つまりはストーカーだ。 高校一年の春からだ。今私は三年生の春なので、かれこれ二年間この状態が続いている。 当然学校の友達や先生にも相談した。 けど友達からは付き合っちゃえと茶化され、学校の先生には被害妄想だと言われた。 警察に行くことも、まして家族に相談することもできず今に至っている。 男に直接説教という手もあるが…いや、怖くて無理だ。 歳は20代中盤くらいだろうか。 まだ若いってのになんで私なんか付け回してるんだか。 その時信号が青から赤に変わろうとしていた。 (あれ渡れなきゃ見たいドラマに間に合わない…!) ダッと駆け出す。 信号は青から赤に変わった。 (間に合って!) 勢い良く横断歩道を渡る。 (よし、間に合……) ブッブーーーーーーー!! 耳を劈(つんざ)くようなトラックのクラクション音。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1357人が本棚に入れています
本棚に追加