第三話 いっしょ

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朝、母の声で目が覚める。 私は眠気を引き摺りながら階段を降りる。 私はいつも母の声で目が覚める。 もちろん目覚まし時計は用意している。 しかし、私の睡魔はそんじょそこらの暴音ではなかなか退治することができないらしく、高校生になった今でも朝は母の手─もとい口を借りている。 私もそろそろ自分で起きなきゃ…と思いつつフラフラとした足取りで階段を降りる。 あぁまだ寝たい…。 不意に体がバランスを失う。 階段を踏み外し空を踏む右足は重力に従い落下する。 「キャ………!」 少しでもバランスをとろうとし後ろに突き出した左手を急に掴まれた。 途端にその場で尻餅を着く。 危なかった…。 家の階段とはいえそれなりの高さがある。 捻挫(ねんざ)では免れないだろう。 安堵の息を漏らしつつ後ろに振り替える。 「ありがとう、お父…さん?」 誰もいない。 母は下で朝食を作っているので可能性としては父であるはずなのだが…。 不審に思いながらも居間に向かう。 ───え? 「おはよう。 どうした?父さんの顔に何かついてるか?」 父が朝食のスクランブルエッグを食べながらはて?という顔で私を見る。
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