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あれ?なんで居間にいるの?二階にいたんじゃないの?
それじゃ─私ノ手ヲ掴ンダノハ誰?
「ほら、早くあんたも食べなさい。遅刻するわよ。」
キッチンから母の声がした。
学校に向かう。
足は学校に向かうが思考は全く別の方向に向かっていた。
酷く寒気がする。
何か、誰かに見られているような気がする。
しかし、振り返ってみても当然のように誰もいない。
思考の中に昨日のストーカーの男性の顔が浮かぶ。
しかし、必死にその考えを振り払う。
もういないのよ!彼は死んだ!私を助けるために死んだのよ!
私を……。
学校の門をくぐり、私は思考を中断した。
授業は、事故の事や今朝の出来事を考えていて全く頭に入らなかった。
もうすぐ大学受験が控えている。
真面目に授業を受けなくてはと思うがどうしても集中できない。
彼の顔が頭に浮かぶ。
苦しそうに喜んだ、あの顔が──
学校が終わり帰路につく。
帰ったら勉強しよ。
そんなことを思いながら歩いていると、また何か背筋に悪寒が走るのを感じる。
──誰かに見られてる。
彼が、、、見てる…!
振り返って姿を見た訳ではない。
しかし、私には何故か解る。
──彼が見てる。私を。憑いて来てる。死んで尚(なお)。
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