第三話 いっしょ

12/15
前へ
/50ページ
次へ
「す、すみません!」 「いいですよいいですよ。ハッキリ言われた方が遠慮とかしなくていいし」 また、はは、と笑い彼は自分が入院した理由を話し始めた。 「まぁ俺、入院してからそんなに長くはないんだけど。 俺には好きな人がいてね。いつも夕暮れ時にあの娘を見掛けてた」 彼はハァと溜め息を吐き話を続ける。 「一目惚れだった。その日から俺は夕暮れ時になると決まって彼女を探してた。帰り道らしく必ず彼女を見つけることは出来た。 でも、喋り掛けることが出来なかった。 勇気が無かったんだ…」 「でも、それじゃダメですよ。 勇気を持って喋り掛けなきゃ!」 つい熱くなってしまって口ごもる。 「そう、君の言うとおりだ。 俺はその日、決心した。 このままじゃいけないって、一歩踏み出さなきゃ。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1357人が本棚に入れています
本棚に追加