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まるで友人に喋り掛けられているようだった。
確かにネット上では友人だが初対面でこれほどまで馴々しく喋れるのは難しいだろう。
きっと普段でも彼女はこうなのだろう。
「あ、私のハンドルネームは“うとむ”ね。
でも驚いたわ。あなた若いのね~。高校生?」
「いえ、大学の一年生です」
ふ~んと頷いていた彼女は後ろの二人を紹介し始めた。
「じゃ二人を紹介するわね。
まずテーブルの左に座ってる中年のおじさんが“セフィロス”。
右に座っているおじいさんが“逃亡兵”さんよ」
失礼な紹介の仕方だと思ったが、二人は嫌な顔せず始めましてとこちらに会釈をする。
「そんなとこに突っ立って無いで早くあなたもこっちに来なさいな」
と、テーブルに向かいこっちにおいでおいでする。
テーブルでは“セフィロス”と“逃亡兵”が向かい合って座っている。
俺は始めましてと両者に会釈しながら“うとむ”の向かいに座る。
しかし驚いた。まさか俺が話していた人達がこんなにも高年齢の方達だったとは。
どうりで話が尽きないわけだ。長く生きている分、ネタはたくさん持っているだろう。
「にしても呼んだ本人が遅刻とはどういうことじゃ」
“逃亡兵”さんはいかにも礼儀を重んじるタイプなのだろう。
不機嫌そうにつぶやく。
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