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“うとむ”は顔を真っ赤にし、照れ臭そうに言う。
背筋に悪寒が走る。
「若いってのはいいことじゃのう」
と“逃亡兵”さんが言う。
何かおかしい。
まるで彼等の、素の部分が出て来ているというか、最初には無かった何か不気味なものを感じる。
ここに居てはいけないような気がする。
俺は何か理由をつけて屋敷を出ることにした。
「あ、ちょっと暑いんで、夜風に当たってきます」
立ち上がり出口に向かう俺に三人の制止の声が掛けられる。
「待ちなよ」
「待て、坊主」
「待って下さい」
異口同音(いくどうおん)に発せられた声には、何か不気味な感情が込められていた。
ヤバい。
直感がする。
ここに居てはいけないと、頭の中で警報が鳴っている。
「ほら、水も持ってきましたよ。
座って下さい」
それはお願いという口調では無く、むしろ命令的な意思が込められていた。
“うとむ”も“逃亡兵”さんも、目で『座れ』と訴え掛けている。
「な、なんでキッチンの場所が解ったんですか“セフィロス”さん?」
精一杯の反抗を口にする。
それに対し、彼はやれやれといった感じで返答する。
「キッチンの場所なんて探せばすぐに見つかりますよ」
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