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ニコニコしていた目が鋭く見開かれる。
「さ、座りなさい」
じりじりと出口に下がる。
服は汗で、まるでバケツの水を被ったかのようにずぶ濡れになっていた。
「ハッ…ハッ…ハッ…」
息苦しい。
これは違和感ではなく明らかな異常だった。
“セフィロス”さんがこっちに近付いてくる。
それに合わせてテーブルに座っていた二人も立ち上がりにじり寄ってくる。
「戻ってきなよ」
「戻ってこい」
「戻って下さい」
完全におかしい。
彼等の目は、まるで穴ように暗い点がぽっかりと空いていた。
ドン、背中が出口の扉に当たる。
勢いよく振り返り、ドアノブに手を回す。
しかし、いくら押しても引いても、扉は溶接されたかのようにびくともしない。
扉に何度も体当たりをする。
後ろからはもうすぐそばに足音が近付いていた。
「頼む!頼む!開いてくれ!開いてくれ!」
渾身(こんしん)の力を溜め後ろ足に全ての体重をかける。
と、胸にいくつもの腕が絡み付く。
「放せ!放せぇ!」
叫びながら首だけ後ろに振り向く。
しがみついている彼等の目からは血が垂れ流れていた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
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