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俺は男のわき腹めがけて剣を振り下ろす。
…あ…?
「これで決めるぜ!七色に散れ!!七色剣(エレメントソード)!」
ズバッズバババババズバン!
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ドサッ
男はグッタリと仰向けに倒れている。
俺は男の前まで歩み寄り、
「フンッ、お前が俺に勝てるわけねーんだよ」
そう言って回れ右して帰ろうとしたが…
背後から声がした。
「まだ使いこなせていないようだな」
男はゆっくり起きあがりながら言った。
「なんだと…何が使いこなせてないんだよ!」
俺は後ろを振り返り、男を睨みつけて言う。
「剣だ!本来さっきの技は自分の意志で使えて、自覚して使えるものだったのだ!」
立ち上がった男は人差し指で俺を指さす。
「なっ…おっ、俺は自分の意志で自覚して使った!」
そうだ。
俺はあの呪文らしきものが頭ん中にフッと浮かび、思いつくままに叫び…今に至っている。
「ほぅ、じゃあきくが…お前は最初からその技の名前を知っていたか?そして何よりお前はさっきまで戦士になりたいと思ってたか?」
「…っ」
そう言われると…
それを言っちゃあ…
「そら、何も答えられやしねえ。使いこなせてないってのはそういう事だ。」
「…」
反論できない…
今から戦士になるかもしれねーってのに…
「お前は今、心の底から闘う意志があったか?ちがうだろう?そんなヤツに戦士なんかつとまらねえ。ちゃんと戦士になるといえば闘い方を教えてやろう。さぁ、どうする?」
ポケットに手を突っ込み、魔法石を握りしめる。
…なる『かもしれねー』じゃない。
戦士に『なる』んだ!
俺は顔をあげて叫ぶ。
「お、俺は…俺は戦士になる!最強の戦士になってみせる!」
俺は本気だ。
確かに少し前まではめんどくさいとおもったが…
今やるコトに過去の思いをひきずる必要はない。
俺は後悔してない。これからもしない。
この先に何があったとしても。
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