序章

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「レンっ、アンタまたっ…」 「しまった」 リビングにカバン、置きっぱなしだった。数学のテストみられたんだ。俺は隣のベランダに飛び移った。 「おいっ!カイ、開けてくれーっ」 バンバン!俺は窓を叩く。 「わ・・・わかった今あける、ちょっと待てよ!」 カチャッ 窓のむこうから鍵の開く音がした。 「よっしゃ開いた!」 俺はすぐさま窓を開け、カイの部屋に入る。 タッタッタッ 「レン!どこにいるの!」 ガチャッ! 「まーたカイ君のとこに行ったわね 全く…帰ったらただじゃおかないんだから」 「ふぅ…サンキュー カイ 助かったぜ」 俺の家はマンションで、カイは隣の部屋に住んでいる。 「…お前、今度は何したんだ?」 カイは勉強していたらしく、ペン回しをしながらきいてきた。 「『今度は』って…数学のテストで19点とりましたぁ」 「ギャーハッハ!お前バッカじゃねーのォ アーハハハ!」 あまりの言い種に少しムッとし、 「腹立つなぁ そーゆうお前は何点だったんだ」 ときくと、カイのメガネがキラリと光る。 「何点だっただと?クフフ…愚問だな」 「何…?」 「その愚問に答えてやろう…98点だ!!」 カイは答案用紙をヒラヒラさせながら見せびらかした。 「きゅ・・・・98点!!?お前どんだけ頭いいんだよ!」 「別にィ?日頃の授業ちゃんと受けてればとれる点数だよォ?」 くっ、この言い方!憎たらしいったらねえ! ボ-ンボ-ンと時計がなる 「もうこんな時間か!もうそろそろ許してくれてるだろ!じゃぁ帰るから」 「おう!じゃあな!」 「ふんふふーん」 鼻歌を歌いながら俺は自分の部屋へ戻る。 「レーンーっ!」 母さんはまさかの仁王立ちで部屋にたっていた。 「アンタまたカイ君とこ行ってたわね!」 …帰って来ていきなりこれか…電話とか鳴ってくれないかなぁ… 「全くあんたって子はっ…」 長電話なら母さん、この事は忘れてくれんのに… 「レン、聞いてるの?」 トゥルルル 「あっもしもしィ…あらァ吉原さん!ごぶさたしてますゥ」 あり…ホントに鳴ったよ しかも母さんが必ず20分は話す吉原さんだ… 約20分後ー 「そろそろ終わるぐらいだな!あと30分くらい喋ってればいいのに!」 「そうそうそうなのよねー」 「あれっ?全然終わる気配がしないな。なんで思ったことが現実になるんだ?」
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