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ヒュゥゥゥゥ…
どこからともなく風がふく。
俺はまだ青い剣を握っている。
しかし、さっきは両手で振り上げるのが精一杯だったのに、今は片手で軽々と持っている。
「へっ雑魚が意気がってんじゃねーよ」
あの男の声だ。
「んだと!こら!俺は戦士になるんだよ!」
え!戦士になるの!?誰が誰が?…って、あれ?これ…俺?
男は叫ぶ。
「ほざいてろ!行くぞ!」
シュンッ
「消えた?」
「後ろだよバーカ!」
男は瞬間移動の手を使ったようだ。
背後のヤツを尻目に、俺は剣に手をかざして言葉を叫ぶ。
「ハァァァァァァ!七色鮫(エレメントシャーク)!!」
は?何してんの俺?なんでそんなん知ってんの!?
今アイツと闘ってるのは俺…なのか!?
(なんだこのガキ…動きが急に早くなったぞ)
俺の青かった剣は、光のさす角度によって七色にキラキラと光り輝く物に変わった。
「さっきの俺と一緒にするな 俺をナメてたら痛い目みるぜ」
確かに俺の剣はパワーアップしている。強そうだ。
「こいつぁマセたガキだな。でもなぁ、そんな見かけ倒しでやれるほど世の中甘くねぇんだよ!!」
シュンッ
男はまたも瞬間移動の手を使ったようだ。
「ここまで追いついてこ…」
男は後ろを振り向くが、奴の背後にはすでに俺がいる。
「なにっ もうこんな所までっ」
「逃げるばかりがお前の力か?お前が弱そうだからまだ技を出してないのに…ちっともおもしろくねえや」
あぁ、何言ってんだ俺…さっきのの他に技なんか知ってんのかよ…
「こンのガキぃ…っ!!」
男はこめかみに血管を浮き上がらせる。
「もうそろそろ飽きてきたから決めるぞ!一撃でやるから心配しなくていいぜ!」
「そんなオモチャみてえな剣に痛みの心配なんかするかよ!」
「へっ、雑魚ほど吠えるな!」
「雑魚はお前だろ、くそガキめ!」
シュッ
男は消えたかのように思われたが、それより速かったのが
ーー俺だ。
「おせえんだよ!俺から逃げようなんて甘ぇ考えは捨てろ!」
男は目の前にいる俺を見つけると、小さく口を開けて驚く。
「な、なに」
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