始まり

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私は教室の扉を開けた状態で完全にフリーズしてしまった。 そんな私に中務君は一瞬視線を向けたと思ったら、面白くないものでも見た、みたいな顔をしてまた机の上のプリントに視線を戻してしまった。 ただそれだけの動作で私の勇気ポイントは大打撃を受ける。 でも、友達の多い中務君が一人でいるシチュエーションなんてこの中学生活で二度と訪れないかもしれない。 実際一年間同じクラスなのにこんな事今の今まで一度もなかった。 しかも今1月だし。 気の弱い私は満足に話し掛ける事もできないまま無駄に時間を費やしてきてしまっていた。 今の私と中務君は友達ですらない。 このままだと一生ただのクラスメートだ。 卒業してどこかでバッタリ会っても声すら掛ける事もないだろう。
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