始まり

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つもりが目の前で扉が自動的に開いた。 訳もなく私の目の前には中務君が立っていた。 「なんだ、また忘れ物か?」 本日2回目のラッキーチャンス来た! 頭がクラクラする。 中務君から話し掛けられるなんて! 私は顔の温度が急上昇するのを感じながら 「うん…。大事な物忘れちゃって。」 震える声でそう言うのがやっとだった。 「あそ。 俺もう帰るから、山田に教室もう誰もいなかったって言っといてくれる?」 「え?」 「ホントはこれ出来るまで帰んなって言われてたんだけど、いくら時間掛けてもわかんねーもんはわかんねーし。」 中務君はプリントをヒラヒラさせながらウンザリした顔をする。 「あ、ああ、うん。 帰るの?」 「帰る。出来るまで帰んなとか意味わかんねーし。」
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