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「俺に何が出来る」
嫌に真剣な顔付きをした旦那が、俺の顔を覗き込んでくる。
一体何さ、
ただひたすら目をぱちぱちとさせていると、旦那はふっと視線をおろした。
「何も出来ないのか、」
「おいおい、何が言いたいんだよ旦那は」
脈絡の無い会話は掴みづらい。
よく分からないままひたと旦那を見据えていると、急に立ち上がり踵をかえした。
「え、おい旦那ッ?」
「知らぬ!俺には人の痛みを悟る事など、出来ないからなっ」
パシンッ
勢いよく閉じられた襖から、何故か圧力を感じる。
「痛み、ね」
ねえ‥‥
言えばなんとかしてくれる?
アンタが好きで好きで堪らなくて、痛いんだ。
e.
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