純編

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僕は今日、 ここにやって来たらしい。 窓には何故か鉄格子 静かな部屋。 そう、病院みたいだ。 時間コツコツ過ぎて行く。 天井を見ながら一人、 点滴のポタポタと言う 雨音と、 心電図を通して伝わる鼓動、 夏を告げる雨音が静かに響いている。 手足はグルグルに巻かれて動かない。 「助けて下さい!!」と 叫んでも、誰も来ない。 三十分、一時間が こんなに長く感じた事なんてなかった。 雨音が止んだ頃、 鍵の掛かっていたらしいドアを開けて 女のA看護師さんが、 入って来た。 「椎名君、体調はどう? お昼よ、食堂に行きましょう。」と、点滴の針を抜いて、手足を解き、 心電図を取った。 フラつきながら食堂に歩く すると三十数人の同じく入院中の人達が 食事をしていた。 「空いてるに座って。」 そう言われて席に座った。 「そこ、僕の席です。」 後ろから声をかけられ 言われるままに席を譲った。 窓側に空いてるを見つけ 僕は腰を下ろした。 外を見て、この病院は 田んぼの ど真ん中にあると分かった。
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